ダビンは、私のことを前から見かけていたって。公園で英語勉強してるやつがいる、と。うん、発音練習とかしてたからな。明らかに、この街に新しく来た人だと思ったって。それで、自分もここでの暮らしが長いわけじゃないから、話しかけてみようと思ったって(ダビンは韓国からの駐在組だ)。
ダビンは、変なやつ。公園とかアパートの近くで偶然出会って、私が「これからスーパー行く」っていうとついてくる。いつも付いてきた。なんでだ。別に買うものもなさそうなのに、とあのころ不思議に思っていたが、後から知ったことだが、普通の会話がしたかったんだって。
今日は夕食なにつくるのとか、キムチでつくれるものってなに?とか、こどもは昼寝したかとか。私はそういう話しかできないよ。でも、ダビンのまわりは違ったみたい。夫の年収だとか、夫の年収だとか、家柄だとか、大学どこでたかとか、とにかくお金、money! money! money! おしゃべりっていうと、そういう話をする人が多かったんだって。切ないな。
と、そういうのは全部あとから知った話なので、なぜついてくるんだろうとその時は怪訝に思いつつも、いやではなかった。少し気恥ずかしかったけど、好いてくれてるんだなってわかったから。スーパーの道すがら、そしてスーパーの中で、帰り道で、私たちはおしゃべりした。ゆっくりだ、英語はお互い第二言語で、まだお互い習得中だから。おしゃべりに集中するあまり、信号を赤で渡ろうとして、やべーあぶねーと度々なった。
だから、週末、一緒にアイスを食べに行かない?とスーパーの中で提案されたときも「はあ?」と思わなかったわけではない。何を言われているのか、すぐにはよくわからなかった。そういうの、私は友だちに求めたことがあんまりなかった。別に一人か、あるいははやお(夫)と行くし、それですごく十分だ。高校生くらいの時は、何度かやった気もするが。
うん。やっぱり気恥ずかしかったけど、アイス一緒に食べに行った。おいしかった。
たぶん最初から、ダビンは私にとって少し変な人だった。公園で話しかけたり話しかけられたりはよくあるけど、毎回買い物についてくるような人はいない。
ダビンに出会った、5月下旬ころの話。
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